【AGRI FACTの考え方】AGRI FACTは「化学物質の安全性」をどのように考えているのですか?

「化学物質は基本的には危険なものと考えているが、AGRI FACTはどう考えているのか?」
そんな質問がありましたので、この問題についてお答えします。

1. 化学物質の安全性
すべての化学物質には「用量作用関係の原則」があります。一言でいえば、「多量なら危険、微量なら安全」という関係です。

例えば塩化ナトリウムという化学物質である「食塩」を200g食べたら死ぬことがあります。1日10g以上を食べ続けると高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが増えます。1日数gであれば、一生の間毎日食べ続けても健康に悪影響はないと考えられています。

食塩は体の機能を保つために必須の成分ですが、尿や汗とともに体外に排出されています。だから、その分は補給しなくてはなりません。その量は1日1.5g程度で、それ以下になると、食塩欠乏症になります。炎天下で多量の汗をかいた時などには、それ以上の量を補給する必要があります。

このように、化学物質はその量によって体に対する影響が変わります。これを「用量作用関係」と呼びます。

一般に、「安全な化学物質」とか「危険な化学物質」という分け方がありますが、体への影響は量が決めるのであり、化学物質自身が決めるのではありません。安全な化学物質と考えられている食塩も多量では危険であることは述べました。青酸カリは危険な化学物質と言われ、実際に150㎎以上摂取すると死亡する可能性が高いのですが、1㎎を摂取しても何の作用もないので危険ではありません。労働安全衛生規則では、比較的少量で強い毒性を示すものなどを危険有害化学物質に指定して、適切な取り扱いをするように定めています。

2. 化学物質の安全な使い方
実は私たちの身の回りにあるものはすべて、化学物質です。そのうち、生物が持つ炭素を含む化学物質を「有機化学物質」それ以外を「無機化学物質」と呼び分けています。さらに化学物質は、さまざまな観点で分類されています。例えば、農薬、添加物、フレグランスなどの香料や接着剤、医薬品、そして天然物や体内物質も化学物質です。要するに植物も、食品も、私たちの体も、すべて化学物質です。

私たちの身の回りにあふれている化学物質を安全に使用するために、用量作用関係から、これらは2つに分けられます。添加物や残留農薬は体に何の影響もない微量を使うことで安全を守っています。だから、食品中の添加物や残留農薬の安全性を心配する必要はありません。

他方、医薬品は治療効果を得るために、体に明らかな影響が出る多量を使います。だから用法、用量をきちんと守り、もし副作用があったらすぐに服薬をやめて医師に相談する必要があります。健康食品も植物由来や天然成分と記載があっても、その有効成分はすべて化学物質です。有効であるということは、その量は体に影響がある多量ですから、医薬品と同じ注意が必要です。農薬も散布するときには濃度が高いものを使います。これについては後で説明します。

このように、多くの化学物質は体に影響がない微量を使うことで安全を守るのですが、医薬品や健康食品はそのリスクと利益を考えて、利益が大きいと判断されたときには副作用に注意しつつ多量を使用するという違いがあります。

3. 発がん性化学物質
添加物や農薬には発がん性があると思っている人も少なくありませんが、それは誤解です。発がん性の化学物質にも用量作用関係があり、微量なら心配はないのですが、「予防の措置」として、発がん性がある化学物質を添加物や農薬として使用することは厳しく規制されています。ということは、現在使用が許可されている添加物にも農薬にも、発がん性物質は存在しません。その理由は、日本の食品安全委員会をはじめ、世界の食品安全機関(規制機関)はすべて同じ基準で食品の安全性を審査し、発がん性物質はすべて排除しているからです。だから、現在、世界の規制機関が認めて使用されている添加物にも農薬にも発がん性はありません。

しかし科学の世界では、様々な研究が行われています。中には、規制機関が「発がん性はない」と判断した化学物質についても、「特殊な条件」において発がん性があるとする研究もあります。規制機関がそのような研究を検証する場合には、マウスなど人とは異なる条件で行った実験結果が人に当てはまるのか、人ががんになるほどの多量を摂取することがあるのかなど、実際に人でリスクがあるのかという点を重視します。

例えば、世界の規制機関は一致して除草剤の主成分であるグリホサートに「発がん性がない」と結論を出しています。しかし国際がん研究機関(IARC)は、グリホサートを「おそらく」発がん性があるグループ2Aに分類しています。ちなみに同じグループには赤肉、紫外線、ディーゼルエンジンの排気ガス、65℃以上の熱い飲み物、美容・理容に従事、シフト勤務などがあります。これらは「おそらく発がん性がある」のでしょうが、実際にこれらによって「人」はがんを起こしているのでしょうか? 美容師や理容師にがんが多発しているのでしょうか? それらについてIARCは「発がん性があるから禁止しなさい」と言っているのではなく、「その可能性があるから注意してください」と言っているのです。

4. 化学物質の規制
化学物質に対する不安は日本だけでなく世界各国に広がっています。そして食品は国境を越えて輸出入されます。だから、化学物質の規制は世界各国でほぼ同じ基準を使って非常に厳しく行われています。

具体的には、次の4段階で安全を守ります。

① 添加物や農薬として使用する化学物質の体への影響を科学的に調べて、一生の間毎日摂取しても何の影響もない「一日摂取許容量(ADI)」を決めます。この時点で、発がん性が認められた化学物質は除外されます。これは内閣府食品安全委員会の役割です。
② その化学物質が複数の食品に含まれている場合には、それらの食品を同時に摂取してもそこに含まれる化学物質の量がADIを超えないように、各食品ごとの化学物質の量(基準値)を決めます。これは厚生労働省及び農林水産省の役割です。
③ 市販されている食品や輸入される食品を検査して、その化学物質の量が基準値以下であることを確認します。もし違反があれば、国産品であれば回収・廃棄、輸入品であれば輸入禁止になります。国産品については都道府県、輸入品については厚生労働省が担当します
④ 検査結果は、輸入品については厚生労働省、国産品については都道府県が発表していますので、ホームページを見てください。

〇東京都食品衛生監視指導計画実施結果概要

〇厚生労働省輸入食品監視統計

⑤ 国産食品は輸入食品より安全という考え方が広まっていますが、これは誤解です。国産品と輸入品の違反の比較については、公益財団法人食の安全・安心財団の取りまとめをご覧ください。

5. 農薬について
殺虫剤や除草剤などの農薬は、農場に散布するときにはかなりの高濃度になります。だから、作業に従事する人や、その近くにいる人の健康には十分に配慮する必要があります。しかし、農薬は急速に分解して消えていきます。その時間を測定して、作物に農薬が残留しないような使い方をします。そして、作物への残留量が基準値を超えていないかは、検査で確認されています。だから、食品中の残留農薬の心配はありません。

農薬は、人の健康だけでなく、自然環境に対する影響も考えなくてはなりません。殺虫剤も除草剤も必要な時だけ十分に注意して使用するという、医薬品と似た使い方が必要であり、そのように使われています。

6. まとめ
以上の理由から、AGRI FACTは、日本で販売されている食品中の残留農薬と添加物の安全性は非常に高いと判断しています。

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