【食品添加物をめぐる重要な10項目】4. 食品添加物がないと経済的損失が生じる

※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。

4. 食品添加物がないと経済的損失が生じる

消費者の無添加志向が高まっているが、保存料の使用を減らすと、食品の賞味期限が短くなり、品質を保持するために冷凍・ 冷蔵技術を取り入れる必要があるため、廃棄や流通などのコス トが増大する。保存料であるソルビン酸や同カリウムの使用を5%減らすと、消費者余剰(消費者にとってのメリット)が1,773億円減少するという試算もある。

■食品添加物編解説

保存料の役割は食品の日持ちを向上させること、食中毒のリスクを低下させることですが、多くの消費者はそのことを知らずに食品のリスクを高めるものだと誤解しています。そんなこともあり、近年、保存量の使用が減少する傾向があります。このことが大きな経済的損失につながっています。

(1)保存料使用量の低減が経済損失につながる
「保存料無添加」などと大きく表示し、食品添加物である保存料を使わないことをうたっている食品をよく見かけます。食品の腐敗を防ぎ、食中毒リスクを下げる役割を持つ保存料を使わない「無添加食品」は、食中毒のリスクを高めることになります。食品のリスクの中で、食中毒はもっとも大きいものです。食中毒のリスクを低減させる効果がなくなれば、食品のリスクがより大きくなるということなのです。

また、「無添加食品」は保存料を使っている食品より腐敗も早いので、廃棄も早くなります。そのため、廃棄コストが増大します。また、腐敗しないようにと、冷凍・冷蔵技術を流通システムに取り入れると、そのコストも膨らみます。その経済的な影響を近畿大学農学部の有路昌彦准教授らが調べたところ、保存料使用量の減少は大きな経済損失をもたらすことが明らかになりました。

近年、保存料の使用量が減少傾向にあります。そこで、保存料であるソルビン酸、ソルビン酸カリウムを対象に、保存料の減少傾向がどの程度の経済損失をもたらすか、経済学的な手法を用いてシミュレーションを行いました。その結果、これらの保存料の使用量が1 年間に5%減少すると、消費者余剰(消費者が得る利益)が1,773億円減少することがわかったのです。

経済損失の原因に、保存料が健康に害を及ぼすかのような情報による消費者の無添加志向の高まりがあります。このような経済への影響なども正しく消費者に伝えていく必要があります。

参考:「保存料使用減による経済損失と情報提供が消費行動に与える影響」 髙原淳志他、Foods & Food Ingredients Journal of Japan, 215, 4, 434- 439 (2010)
「無添加はかえって危ない」有路昌彦、日経 BP コンサルティング(2011)

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