【種子法の廃止は危険?】Q 種苗法により自家採種ができなくなるのか?

※本論説は朝日新聞DIGITAL「論座」に2018年8月20日付で掲載されたものを転載(一部再編集

A 自家採種とは、自分で栽培した種もみを使って米の栽培を続けることであり、種子を購入しなくてよい農家にとっては経済的なメリットがある。他方、苦労して新品種を開発した人の権利を守ることも重要であり、種苗法は省令で定められたものについて登録品種の自家採種を禁じている。

平昌オリンピックの時、日本で開発されたイチゴが韓国で無断で栽培されて韓国中に広がっているだけでなく、輸出までされているとして話題になった。国際的なルールでは、新たな登録品種の場合は自家採種が禁止されているのだが、この話題をきっかけに、新品種を守る種苗法の大切さについてはある程度、理解が広まったのではないか。

ただし、省令によって制限されていない品目の自家採種は認められている。また、品種登録されていないものや、登録後25年を経過したものについても、制限を受けない。したがって在来品種のように登録品種ではないものについての自家採種は自由だ。

また、自家採種にはもう一つ問題がある。自家採種を続けると種の性質が変化することだ。例えば最初はコシヒカリだったものが何回か採種を繰り返すとコシヒカリとは認められないものに変化することもある。そのような事態を防ぐには、厳密に管理された原種(種もみ)を使って種子を生産する必要があり、都道府県の役割は引きつづき重要だ。


回答者:公益財団法人食の安全・安心財団理事長、東京大学名誉教授 唐木英明


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