【事実関係に誤り!】検証内容「報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」猪瀬 聖氏(ジャーナリスト)

「報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」猪瀬 聖氏(ジャーナリスト)

【AGRI FACTによるファクトチェック結果】
  事実関係に誤り! 

【その理由は?】
報告書の原文「(国際市場で取引される蜂蜜の※1)残留物の存在に関連する、消費者の認識と貿易リスクが存在する可能性がある(=存在しない可能性もある2)」を都合よく「消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している」と翻訳・引用して、読者を意図的にミスリードしているため

12は編集部による補足

AGRI FACTのファクトチェック【対象と選択基準】
AGRI FACTのファクトチェック【評価基準と判定】


以上の要旨はAGRI FACT事務局が作成したものです。
詳細は以下でご確認ください。

農と食にまつわる噂・ニュース・風評の「ウソ?本当?」を検証するサイトAGRI FACT(アグリファクト)は2020年9月8日、「報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」猪瀬 聖氏(ジャーナリスト)との投稿についてファクトチェックを行い、「事実関係に誤り」とする調査結果を発表した。

■ファクトチェックした記述内容
「報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」

■記述内容の原文(検証対象は太字部分)と出典
調査は、精製前の蜂蜜と同国内で販売されている蜂蜜製品を対象に、2015~16年と2019年の2回にわたって行われた。
1回目の調査では、全国から集めた300サンプルの残留農薬を検査。その結果、全体の22%にあたる67サンプルからグリホサートを検出。そのうち5つのサンプルは、政府が定めた国内向けの残留基準の上限(0.1mg/kg)を超えていた。いずれも精製前の蜂蜜だった。
300サンプル中、マヌカハニーと、マヌカハニーが含まれていると見られるブレンド品は合わせて116サンプル。その16%にあたる19サンプルからグリホサートが検出された。残留基準を超えたものはなかった。
2回目の調査は、国内向けのマヌカハニーの製品に絞って行われ、全60サンプル中、18%にあたる11サンプルからグリホサートを検出した。残留基準を超えたものはなかった。
<中略>
報告書は、市販の蜂蜜製品からは政府の残留基準を上回る量のグリホサートが検出されなかったことから、同国産の蜂蜜の安全性に問題はないと強調している。しかし、報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。 

出典:猪瀬 聖氏(ジャーナリスト)のWeb記事「新型コロナで人気沸騰の高級蜂蜜から発がん性疑惑農薬」(2020年8月16日公開)https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20200816-00193587/


■ファクトチェックの検証結果
筆者の猪瀬氏が「情報源は、同国の第一次産業省がまとめた調査報告書で、報告書の中身はニュージーランド政府のサイトで閲覧可能だ」と書いているので、NZ政府担当庁のWebサイトを閲覧して確認した。
ジャーナリストの猪瀬氏は、調査は「2015~16年と2019年の2回にわたって行われた」と記しているが、正しくは2017年から2018にかけてと、2018年から2019年にかけての2回の間違いである。
原文:New Zealand Food Safety conducted targeted surveys on honey samples for glyphosate residues in 2017/2018 and 2018/2019.

調査結果は猪瀬氏が書いている通り、1回目の調査では、全国から集めた蜂蜜300サンプルの残留農薬を検査し、67サンプルからグリホサートを検出した。そのうち5つのサンプルは、政府が定めた国内向け残留基準の上限(0.1mg/kg)を超えていたが、いずれも商品になる前段階の精製前の蜂蜜であり、精製後の商品は一つもなかった。
300サンプル中、マヌカハニーと、マヌカハニーが含まれていると見られるブレンド品の116サンプルのうち、19サンプルからグリホサートが検出されたが、残留基準を超えたものはなかった。
2回目の調査は、国内向けのマヌカハニー製品に絞って行われ、全60サンプル中11サンプルからグリホサートを検出したが、残留基準を超えたものはなかった。

報告書は、消費者の口に入る商品サンプルには、グリホサート残留物が基準値(0.1mg/kg)を超えるものがなかったことから、NZ産蜂蜜食品の安全性への懸念はなかったと結論づけている。この「0.1mg/kg」というグリホサート残留基準の上限は世界の規制機関とほぼ同等で、どれほど厳しいかというと、たとえばニュージーランドの(平均的な)5歳の子供が基準値を超えるのに、毎日およそ230kgの蜂蜜を食べる必要がある。それほどの量を摂取するのは非現実的なので、残留基準値を下回るNZ産の蜂蜜商品(マヌカハニーを含む)は、世界中の消費者が食べても安全ということになる。

そのため猪瀬氏自身も「同国産の蜂蜜の安全性に問題はないと強調している。」と書いている。報告書はこれが主旨だが、筆者は「しかし、報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」という一文を追加している。
報告書の原文は以下の通り。「However, for honey traded in international markets, there can be a consumer perception and trade risk associated with the presence of any residues.」
直訳的な翻訳だが、「ただし、国際市場で取引される蜂蜜の場合、残留物の存在に関連する、消費者の認識と貿易リスクが存在する可能性があります。」となる。猪瀬氏が翻訳した「拒否反応」に相当する単語(perceptionは認識・認知)は原文にはないし、原文は、海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘しては「いない」。報告書は「リスクが存在するかもしれない可能性に言及しただけ」で、リスクはないかもしれないが、一応、一言添えておいたという意味合いが強い。

筆者は自説に都合の良い意訳による引用で、NZ政府担当庁が安全と結論づけた蜂蜜の残留物にまだ安全リスクがあるかのような誤った印象を読者に与えている。
ゆえに「報告書は同時に、グリホサートが残留している蜂蜜に海外の消費者が拒否反応を示すリスクも指摘している。」は、著しく妥当性・信頼性を欠いていることから、「事実関係に誤り」(定義:https://agrifact.dga.jp/faq_detail.html?id=54&category=4&page=1)と判断される。

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