【ニュース】間違い!反バイオテック活動団体が流布するストーリー 資金源追跡データから明らかに!

遺伝子組換え(GM)作物反対派団体の資金源トラッカー:資金提供団体とNGOの広範なネットワークが作物バイオテクノロジーに関する不安を拡散(GLPチーム2020年5月5日公開) より翻訳・要約

■反GM運動の資金源を追跡してわかったこと

アメリカの「Genetic Literacy Project(遺伝子リテラシープロジェクト=GLP)」は、資金の独立性を保ちながらバイオテクノロジーのイノベーションに関する情報を収集・分析し、調査結果を発表している。この記事はGLPの調査結果の一部の抜粋である。

遺伝子組換え(GM)作物をめぐる議論において、反バイオテック活動団体は常々、農業化学業界では巨大企業モンサント(現在はバイエル傘下)社などが経済的・政治的に多大な影響力を持っているので、メディアを通じてプロパガンダを大量に流したり政治的コネクションを駆使しながら、安全性の懸念が指摘されているGM作物への人々の支持を安定的に取り付けている、と主張してきた。

しかし、GLPが1年かけて実施した調査結果をまとめた「Anti-GMO Funding Tracker(遺伝子組換え反対運動の資金源追跡者=資金源トラッカー)」によると、反バイオテック活動団体の主張は事実に基づくというよりはむしろ、彼らが唱える陰謀論的主張を補うために意図的に作られたものであり、イデオロギー的な主張に過ぎないことが示唆されている。

GLPが過去10年近くの基金や環境保護NGOの納税記録を精査すると、反バイオテック活動団体は、「Big Ag(巨大農業団体)」と呼ばれる、バイオテクノロジー業界につながりのある企業や業界団体と比べてもはるかに多額の資金を、GM作物に関する活動に投じていることが示唆されている。

この調査ではまた、GM作物反対派の活動に資金提供する基金が広範なネットワークを形成して互いに協力している実態が浮かび上がった。それらの基金の多くは、実証主義的な科学を推し進めることをミッションとして掲げているにもかかわらず、それに真っ向から対立するような運動を行っている活動団体を支援していた。 

■陰謀論的反バイオテック活動団体のストーリー

GM作物反対派の活動団体は過去25年近くにわたり、彼らが「Big Ag」の“プロパガンダマシーン”と呼ぶものから消費者を守る活動をしているのだ、という立場を取ってきた。彼らは、遺伝子が組換えられた、あるいは遺伝子が編集された種子から育てられる食品や、そうした作物の生育を助けるのに用いられる化学物質は、自閉症、自己免疫疾患、食品アレルギー、アルツハイマー病、パーキンソン病、さらには癌まで、多くの病気を引き起こす、と主張している。また彼らは、アメリカや多くの外国では従来型農法においても遺伝子工学に頼った商品作物が生産されており、これは生態系に深刻な悪影響を与えるものだ、とも主張している。 

こうした活動団体には、「Center for Food Safety and the Natural Resources Defense Council(食品安全と天然資源保護評議センター)」の「Environmental Working Group(環境ワーキンググループ)」をはじめ、GM作物反対派の活動以外にも広範な運動を行う有名な環境保護団体が含まれている。さらには、「US Right to Know(USRTK、米・知る権利)」や「Just Label It!(頼むからラベル表示してくれ!)」、「Organic Consumers Association(有機消費者協会)」および「Non-GMO Project(遺伝子組換え作物反対派プロジェクト)」など、反GM運動に焦点を絞って活動している団体もあり、これらの団体の第一の目的は「作物バイオテクノロジーを悪魔のような存在に仕立てあげること」である。これらの団体は全て、自らが資金が潤沢な農業ビジネスの巨人(ゴリアテ)たちに困難な闘いを挑んでいる小さき勇者・英雄(ダビデ)であるというストーリーを展開している。

これらの団体は長年にわたって、モンサント社をメインターゲットとし、中には同社を悪党呼ばわりする動きも見られた。反バイオテック活動団体は、有機食品や環境保護運動に関して、モンサントへの草の根的な批判の信用を低下させるため、同社が巨額の資金を投じて広報活動を展開してきたし、その広報活動によって世界の食料供給を脅かすことになっているのだ、と主張してきた。彼らは、従来型農業や最先端のバイオテクノロジーを支持していると判断したあらゆる科学者、ジャーナリスト、または文献に対して、ダビデに襲いかかるゴリアテという構図の「偽情報拡散マシーンの一部」なのだと批判し、「モンサントのサクラ」というレッテルを貼ってきた。 

こうした攻撃の典型例として挙げられるのが、反バイオテックドキュメンタリー映画の『Seed』である。本作品は、反グローバリゼーション活動家など、その筋では有名な活動家の支援を受けて制作されたものである。Seedは、バイオテックの化学企業は私たちの種子、農家、科学者、弁護士の大多数を支配しており、伝統的な種子を守ろうとしている者たちはゴリアテに戦いを挑むダビデのように戦って、私たちの食品の未来を守ろうとしている、と主張している。

カリフォルニアに拠点を置くUSRTKは、バイエル社に対する訴訟を組織したりそれについての周知を行う支援活動を展開していることでよく知られる。同団体も同様に、「強力で腐敗した政治的マシーン」が存在し、Big Agが支配域を拡大して世界の食料供給を配下に収められるよう運動している、と主張している。その黒幕として、合衆国最高裁判所の陪席判事から、オバマ政権の全員まで、ありとあらゆる人々が名指しされている。

■科学的なコンセンサスとは対立

こうした疑念は、世界中の科学的なコンセンサスに真っ向から対立する。300近い国際的な科学研究・規制機関は、バイオテックを用いて生産された作物の安全性を認める声明を出している。遺伝子工学が用いられた種子から育てられた作物が何らかの特有の健康被害をもたらすと断言した主流派の研究または規制団体はひとつもない。しかし人々は、食品に関する問題について「調査」するのにしばしば科学者ではなくネットのGoogle検索に頼りがちだ。 

例えば2016年12月に「Pew Research(ピュー研究所)」が「American Association for the Advancement of Science(アメリカ科学振興協会)」と共同で実施した調査によると、約57%のアメリカ人は遺伝子組換え食品は安全ではないと回答し、67%ものアメリカ人はこの分野で研究している科学者を信頼していない、と回答した。しかしAAASの科学者の88%は、GM作物は安全だと回答している。GM作物由来の食品に最も懐疑的だったのは、活動団体の運動に大きく影響された若者だった。 

■ストーリーの間違いが裏付けられる

GLPが資金の独立性を保ちながら1年をかけて実施した研究プロジェクトによると、反バイオテック活動団体が流布してきたストーリーには深刻な欠陥があるという。ストーリー自体が間違っているというのである。 

GLPの資金源トラッカーで詳細に記述されている通り、資金が潤沢な基金や有機食品企業は、多額の資金を投じて、反農業バイオテクノロジー運動を行っている活動団体を支援したり、連邦政府の政治家に対してロビー活動を行ったり、彼らの有機派のメッセージを促進するように計画された研究に資金援助を行ったりしている。その額は実に2012年から2016年までの5年間で1兆ドル(約105兆円)近くにのぼり、またそれまでも何年にもわたって10億ドル(約1,050億円)を優に超える規模の資金提供が行われた。この構図を正しく捉えると、GM作物反対派運動の資金提供やロビー活動の規模は、バイオテック業界による商品のあらゆるプロモーション運動の規模を上回るという実態が浮かび上がる。 

作物バイオテクノロジーをめぐるイデオロギー的対立が激化したのは1990年代のことだが、なぜ資金源トラッカーは2012年から2016年に着目したのか。その答えは、この期間にGM作物反対派運動が勃興して強力な政治力を発揮するようになり、主流のメディアや人々から、それまでになく高い注目を集めるようになったからである。この5年間は、GM作物反対派の活動団体と農業バイオテクノロジーの庇護者の間での戦いが最も激しくなった時期なのだ。

2012年には、フランス人科学者のセラリーニ氏が、除草剤グリホサートで処理されたGMトウモロコシがラットの実験でひどい腫瘍を引き起こしたと主張する扇動的な論文が発表された。この論文は独立の立場の専門家や食品安全当局者からの鋭い批判の対象となり、最終的には出版された雑誌から取り下げられたが、その後遺伝子組換え作物反対派の活動団体や科学者の間で人気のある集金目的の有料雑誌で再出版され、多くの消費者の心に遺伝子組換え作物の安全性に関する懸念を植え付けた。その後、GM作物反対派の議論は2015年3月から再び激化した。IARC(国際がん研究機関)が報告書で、グリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に再分類したからである。資金源トラッカーには、IARCの報告書が活動団体のプロパガンダや資金集め運動を大きく推し進めることになったことが記録されている。 

科学に基づいたプロジェクトに資金提供することを人々に約束している大規模な基金も、ひょっとすると知らないうちに、科学的コンセンサスから大きく外れる意見を流布して権威のある科学者や科学ジャーナリストへの攻撃を促すGM作物反対派の活動団体にも、資金を提供していること。GM作物反対派の活動団体は、しばしば非営利団体へのロビー活動の規制をすり抜けて、GM作物反対派のロビー活動に密かに(※)何百万ドルもの資金を投じていること。科学に基づいた研究や運動を支援しているとの評価を受けている大規模で有名な環境保護団体も、作物バイオテクノロジーへの攻撃を促したり作物バイオテクノロジーに関する誤った情報を拡散していること、などを資金源トラッカーのデータは明らかにしている。

※:原文の「millions」は日本語では「何百万」と訳され、最大で999万までをイメージしてしまうが、原文のように「millions」の前に他の表現を用いて桁数を指定しない限り、最大で9億9,999万までを指す場合がある。

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